前回の続きで道路と高低差のある土地について考えていきます。
ある道路に対して以下の様な土地があったとします。

この道路の相続税路線価が仮に1㎡当たり100,000円であった場合、道路より約30cm高い左側の土地が標準的な土地として設定されていたとします。
そのため道路より約2.0m高い土地は高低差の関係で利用価値が著しく低下しているとして、10%の減価が認められることとなります。
では仮にこの道路に接する土地の殆どが道路より約2.0m高かった場合にはどうなるのでしょうか。
その場合、地域の標準的な土地は道路より約2.0m高い土地で、道路との高低差による減価要因は前面道路の路線価により反映されていることになり、特段の減価はできないと思われます。
つまり道路より高いからと単純に判断するのではなく、地域の標準的な土地がどの様な土地なのか、不動産鑑定評価における標準的画地がどのような土地かを考える必要があるということになります。
また道路より30cm高い土地が標準的な土地だとした場合、実際にどれくらい道路より高く接面すれば減価の対象になるのかも考える必要があります。
道路より50cm高い土地があったとします。
この土地は標準的な土地よりも道路との高低差があるから減価できるでしょうか。。。
恐らく標準的な画地との高低差は20cmしかないため、減価はできないという判断になります。
ここで最初の論点に戻りますが、減価をするには利用価値が著しく低下していると認められることが必要です。
30cmと2.0mの高低差であれば、利用価値が著しく低下しているといえますが、30cmと50cmの高低差であれば利用価値の著しい低下は認められないと判断されます。
仮に階段やスロープを作らなければならないとしても、費用面では土地価格を10%減価する程の大きな減価要因にはならないのではないでしょうか。
次回は税務評価における高低差の減価と不動産鑑定評価における高低差の減価について考えてみたいと思います。
不動産鑑定士による鑑定評価額は適正な時価の指標となるものです。
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問題を未然に防ぐためにも不動産鑑定評価を積極的に採用した方が良い不動産は次のような物件です。
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①間口の狭い土地
②奥行の長い土地
③形状の悪い土地
④地積規模の大きな土地
⑤道路と高低差のある土地
⑥傾斜地
⑦接道要件に問題のある土地
⑧市街地山林、市街地原野、市街地農地
⑨私道付宅地
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⑪埋蔵文化財、地下埋設物、土壌汚染のある土地
⑫アパート、店舗等の収益物件
⑬借地権や底地
⑭地代や家賃の評価
⑮大規模工場等取引相場の分からない不動産
⑯純山林の判定業務
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